言葉にして聞かせて

約4年前、祖母の異変に気が付いたのは孫である娘。アメリカから帰国して4日目。自分をすごくかわいがってくれるお婆ちゃんと楽しく話して眠ったはずなのに、朝起きるとその祖母が別の人のようになっていた。4年近くが経過して初めて「怖いと思ったことに罪悪感がある」と泣きながら教えてくれた。

 

10歳のこどもに受け止められることではない。そしてそれを一番に申し訳なく思うだろう母の性格を思う。そんな思いをさせるために東京まで会いにきたわけじゃないのに、本当にごめんねと思っているだろう。だからそれを伝えたんだけど、それじゃ足りない。

 

大人だって受け止めきれないことが起こった。そしてあなたは大人ではない10歳のこどもだった。あなたの心には「傷」が残った。傷つけたのはおばあちゃんじゃない。あなた自身でもない。目の前の現実があなたを傷つけた。だから誰も悪くない。謝ることでもない。罪悪感を持つ必要もない。

 

だからといってあなたの傷はなくならない。傷が癒えるには何年もかかる。だから思い出したら、言葉にして聞かせて。感じることはその時々で変わるって教えてほしい。