ブレードランナー2049【ネタバレ感想】

ライアン・レイノルズが「セクシー」って言われるのは分かるんだよ。顔長くて目が寄ってる気もするけど、彼の空気がセクシーなんだ。悪いことしてても、最終的には嘘つけなさそうで、良いお父さんになりそうな素直さがにじみ出てる。だからこの映画も楽しみだったんです。ブレードランナーの続編。あの舞台から30年後。

 

www.imdb.com

 

そこはあの当時考えられた未来のそのまた未来。我々の世界の平行未来の姿。そこではレプリカントが人間に仕える道具として存在する。一作目はその世界観にどれだけ没入できたかどうかで作品の楽しみ方のレベルが変わったと思いますが、本作はその「没入感」に関して非常に熱心に演出してくれている。

私がこの作品をIMAXで観ることをお勧めするのはそのため。この映画はこの世界に入り込んで鑑賞すること意味がある。平行未来のこの世界を楽しむのだ。

 

一作目のあのころ、日本には勢いがあった。デッカードが住む集合住宅の窓から見える強力ワカモトの文字と日本女性の顔にも説得力があった。本作で二回ほど出てくるSONYの文字はむしろ日本の存在感の薄さを強調してしまったかも(実際こっちで生活しててもうSONYの文字は目にしないからね)。一番最初に出てくるあたりに配給会社としての意地が見えるけれども。Kの住む集合住宅から見える文字は確かにカタカナですけれども。

ラスベガスのホテルにはハングルが踊ってました。Kが乗ってるロス市警のパトカーはプジョーでした。

もちろん、ヒンドゥー語、ロシア語、タイ語と30年前より多くの言語が存在し共存しているそこはメトロポリタンLA。もっと違う都市が観てみたくなるイメージの嵐。「ぼくらがあのころかんがえたみらいのもうすこしみらい」を楽しむ映画でもある。

 

たーのしいよ。

 

ストーリーに文句やクエスチョンマークをつける箇所も特になく、Kの彼女がプログラミング彼女だっていうのもわかるようなわかんないようなだけど、きっとそんなもんなんだろう。Luvに深みが無いような気もしたけど、それもそんなもんなんだろう。007の強い人造人間みたいなイメージ。

ただ、この映画、センチメンタリズムは回収したけれども物語としては何も進んでいないのよね。この世界の孕んだ危険とかメッセージとか、何も訴えていない。

 

「お前は奇跡をこの目でみていないからな」というセリフ、でもウォレスの「レイチェルの恋心は実験だった」という言葉から考えるとそれが本当に奇跡であったかどうか疑わしくもある。まだまだ技術は不完全だった、ってことかな?

しかし実際出産してその子供が普通に育ってるのを考えると、やっぱりレプリカントは道具としては使っちゃいけないし反乱は必須なのではとかなんとか……。

そういう分析は置いておいて、2時間44分、あれだけのリドリー的な演出にも関わらず鑑賞しきることができました。一作でまとめたあたりも好感が持てる。これが2部作になってたら多分そんなに面白くなかったぞ。

 

www.imdb.com